イサキにアニサキスはいない?食べる時と注意点と食中毒リスク

イサキにアニサキスはいない?

イサキは雨が多い季節に最も美味しくなると言われる魚で、適度な脂がのった白身が特徴です。刺身やなめろうとして生食されることも多いですが、寄生虫の存在が気になるところです。イサキにはアニサキスやフィロメトラといった寄生虫がいることがあります

 

この記事では

 

  • イサキに関連する寄生虫の種類
  • アニサキスとフィロメトラの特徴
  • 安全な食べ方や調理法
  • アニサキスによる食中毒の原因と対処法

 

について詳しく解説します。

目次

イサキの基本情報

イサキの基本情報

概要

    イサキはスズキ目イサキ科に分類される海水魚で、最大で体長50センチメートルにもなります。若い時は体に黒い横縞があり「ウリンボ」とも呼ばれます。日本語では「鶏魚」「伊佐木」「伊佐幾」といった表記もあります。

     

    イサキの名前にはいくつかの説があります。一つは海岸近くでよく見られることから「磯魚」が転じて「イサキ」になったという説もう一つは背部の縞が五つに分かれていることから「五裂」が名前の由来になったという説です。

     

    イサキはサイズに関わらず脂ののりが良く、刺身やなめろう、焼き魚など様々な料理で楽しむことができます。生で食べた時のしっかりとした食感は他の魚とは一味違います。

    季節ごとの美味しさ

    イサキが一番美味しい時期は5月から7月です。冬の寒さを乗り越えて脂を蓄えたイサキは、この時期に肉質がしっかりとします。夏は産卵期にあたるため、メスのイサキは栄養価が高く、味が格別になると言われています。

    産地情報

    イサキは長崎県で多く獲れ、日本全国への供給量の約3割を占めています。長崎県産のイサキは脂がよくのり、その高品質から全国の食卓に届けられています。

     

    イサキにアニサキスはいないの?

    イサキにアニサキスはいないの?

     

    イサキは生で食べることが一般的ですが、消費者が注意すべき点は寄生虫の存在です。イサキにはアニサキスやフィロメトラという寄生虫がいることがあります。アニサキスは人にとって非常に危険で、摂取すると激しい腹痛や嘔吐、下痢などの食中毒症状を引き起こすことが知られている一方で、フィロメトラは人体に寄生することはなく食中毒を引き起こすこともありませんこの寄生虫は主に魚の生殖器官内で見つかります。

     

    イサキの食事時のリスクと注意点

    イサキの食事時のリスクと注意点

     

      イサキに寄生するアニサキスは、魚が死んだ後も生存していることがあります。生で摂取した場合、下痢や腹痛などの食中毒の症状が発生するリスクがあります。イサキは新鮮な状態で生食に適していますが、リスクが伴うため、摂取方法には注意が必要です。

       

      リスクが高まる可能性があるのは以下の調理法です。

       

      • 生の刺身
      • 寿司ネタ
      • 魚のたたき
      • なめろう(細かく刻んだ生魚に調味料を混ぜた料理)
      • 生魚のカルパッチョ

       

      イサキを生で楽しむ方法は様々で、伝統的なお刺身やお寿司から、たたきやなめろう、洗練されたカルパッチョまであります。

       

      イサキが適切に冷凍されていれば、仮にアニサキスが存在していたとしても死滅しているため食べても安全ですが、一度も冷凍せずに生で使用した場合、アニサキスが生きたまま含まれている可能性があります。たたきやなめろうのように細かく切られる料理は、他の方法と比べてアニサキスが混入するリスクは少ないですが、注意が必要です。

       

      リスク比較では、お刺身・お寿司・カルパッチョが高リスク、たたきが低リスクです。次にイサキに寄生するアニサキスやフィロメトラについて詳しく見ていきましょう。

      イサキに寄生するフィロメトラの特性について

      イサキに寄生するフィロメトラの特性について

      形状とサイズ

      フィロメトラはミミズに似た形状をしており、サイズはおよそ10〜20ミリメートルです。外観は黒褐色をしています。

      健康への影響

      フィロメトラは見た目に不快感を与えることがありますが、人間に毒を持っていないため誤って摂取しても健康に害はないとされています。

      フィロメトラが好む宿主

      フィロメトラはカサゴ、マゴチ、メバルなどの海水魚に主に寄生します。

      フィロメトラの好む生息域

      フィロメトラは主に魚の卵巣に生息します。場合によっては一匹の宿主に数百匹が寄生していることもあります。そのため、これらの魚の内臓を扱う際には特別な注意が必要です。

      イサキに寄生するアニサキスの概要

      イサキに寄生するアニサキスの概要

       

      アニサキスは海産魚の体内に潜む寄生虫です。人の消化管に侵入すると、食中毒のような症状を引き起こす可能性があります。アニサキスの特徴についても詳しく見ていきましょう。

      アニサキスのライフサイクル

      アニサキスは微小な海洋寄生虫で、主に海棲哺乳類の消化器系で繁殖します。この寄生虫は、クジラやイルカなどの宿主が排出するフンに混じって海に卵として排泄されます。幼生に変態したアニサキスは、海中で3センチメートルに満たない幼虫に成長し、最初はプランクトンや小さな甲殻類に寄生します。その後、大きな魚類へと宿主を変えます。食物連鎖により、アニサキスは甲殻類から小魚、そして小魚を食べる大魚へと移り、最終的には人間が寄生虫を含む魚を食べることで食中毒が発生します。

       

      アニサキスは半透明で白く細長い体をしており、魚体内で見つけることができます。人体内では寿命が約1週間で、約2~3センチメートルの長さ、0.5~1ミリメートルの細さです。成熟したアニサキスは雌が6から10センチメートル、雄が3から9センチメートルになります。サバ、アジ、サンマ、カツオ、サケ、イワシ、イカなどの海産物で見つかることがありますが、その微細さから気づかずに摂取してしまうこともあります。

       

      魚の体内では成虫に成長しますが、人間の体内では適さず、約1週間で死滅しますが、この短い期間でも消化器系の粘膜に侵入し、激しい痛みや食中毒の症状を引き起こすことがあります。

      識別方法|肉眼での確認は可能か?

      アニサキスの幼虫は透明感のある白色で、白身魚の中では見つけにくい特徴がありますが、長さが2〜3センチメートルにもなるため、注意深く観察すれば肉眼で識別可能です。赤身魚では、対照的な色合いで幼虫が目立ちやすくなります。

      アニサキスが好む寄生エリア

      アニサキスが特に多く見られる魚の体内の場所は腹腔内、骨格筋組織、卵巣です。これらのエリアにアニサキスが潜んでいる可能性が高いため、魚をさばく際には特に注意が必要です。腹腔内はアニサキスにとって理想的な寄生場所で、魚が生存している間はここで養分を得ます。死亡後は筋肉組織へ移行する傾向があります。私たちが通常摂取する部分への移動により、魚が死後時間が経過すると、アニサキス摂取のリスクは高まります。また魚の卵が寄生の対象になることもあるため注意が必要です。

      イサキ摂取による食中毒の理由と症状

      イサキ摂取による食中毒の理由と症状

      食中毒の原因は何か?

      食中毒の主な原因は、アニサキスの幼虫が人間の消化器官の壁に侵入し、刺激と炎症を引き起こすことです。この侵入により、激しい腹痛や嘔吐などの症状を伴うアニサキス症が発生します。

      摂取後に現れる症状と時期は?

          アニサキスによる影響は消化器官への直接的な侵入によって発生します。胃に侵入すると上腹部に強い痛みが表れ、腸に侵入した場合は下腹部の痛みが主な症状になります。痛みは主に消化管関連の部位で生じ、特に胃での痛みが多く見られます。

           

          アニサキス摂取後の急性胃疾患では、食事から数時間後から一日程度で上腹部の強い痛みや吐き気、嘔吐が発生することが多いです。

          アニサキスによる急性腸障害は比較的まれで、摂取後十数時間から数日以内に、強い下腹部の痛みや腹膜炎に似た症状が出ることがあります。

          稀には消化器官を通過して他の部位に達し、そこで問題を引き起こすことがありますが、これは非常にまれです。

           

          アニサキスアレルギー反応も発生することがあり、腹痛や蕁麻疹などのアレルギー症状が出ることがあります。これはアニサキス自体の有無や生死に関わらず、そのタンパク質成分に対する体の反応によるものです。アニサキスアレルギーはアニサキス感染症とは異なり、アニサキスのタンパク質に対する体の過敏反応が原因で発生します。

          アニサキス感染の発生頻度

          アニサキス感染の発生頻度は、例えるならば「1000万円の宝くじに当選する確率」と似たレベルと言われています。この比喩は日本で報告されるアニサキスによる食中毒の件数と、国民が週に一度刺身を食べるという仮定から導かれた計算結果に基づいています。

           

          医療の診療報酬明細に基づく試算では、アニサキスによる年間の感染事例は約7000件とされています。 これを基に計算すると「1億2500万人の国民全員が週1で生魚を食べる(年約50回)」とした場合、7000件の症例が報告されると、約90万分の1の確率でアニサキスによる食中毒が発生すると算出されます。

          イサキによる食中毒感染を避けるための予防対策

          イサキによる食中毒感染を避けるための予防対策

           

          アニサキスは人間に摂取されると強い胃腸痛や下痢を引き起こすことがありますが、適切な予防措置を取ることで感染リスクを大幅に減らすことが可能です。

           

          予防策としては

           

          • 鮮度の高い魚を選んで購入後すぐに内臓を取り除く
          • 目で幼虫の有無を確認する
          • 十分に咀嚼する
          • 生の魚介類を避ける
          • 魚をマイナス20度以下で一日以上冷凍する
          • 70度以上で十分に加熱してから食べる

           

          などがあります。

           

          アニサキスは適切な熱処理や冷凍で排除でき、これらの処理を行った後のアニサキスは無害で体への悪影響はありません生の魚介類を楽しむ場合でも、事前に凍結することで寄生虫を死滅させることができます。また生焼けを避けるために、アニサキスを確実に死滅させるための正確な加熱温度を守ることも大切です。

          完全に排除するための方法

          アニサキスを完全に排除するための効果的な手段は、冷凍と熱処理です。

           

          冷凍法ではマイナス20度以下で24時間以上保つことでアニサキスを排除できます。この温度で長時間冷凍することは寄生虫を確実に死滅させます。

          熱処理法では、70度以上で調理するか、60度で1分間熱を加えることでアニサキスを死滅させることができます。

          アニサキスの適切な処理

          冷凍や加熱は有効な方法ですが、次の点に注意が必要です。

           

          通常の家庭用冷蔵庫や冷凍庫の温度設定ではアニサキスを完全に死滅させるには不十分です。また低温でのゆっくりとした調理法では必要な温度に達しないため、アニサキスが生き残る可能性があります。

           

          安全を確保するためには、これらの点を考慮し、適切な方法での調理を心がけましょう。

          誤ってアニサキスを摂取してしまった場合の応急処置

          誤ってアニサキスを摂取してしまった場合の応急処置

          直ちに医療機関を受診する

          アニサキスが体内でどの位置に留まっているかを特定するために、通常は内視鏡を用いた検査が行われますアニサキスが消化管の粘膜に侵入することによって激しい痛みが引き起こされるため、医師はこの寄生虫を除去する手順を行う可能性が高いです。

          軽微な症状に対する対処方法

            アニサキス感染による軽微な症状に対しては、病院を訪れずとも自然に改善する場合があります。

             

            • 体内での自己消滅を待つ:体内に侵入したアニサキスはおおよそ1週間で死滅するため、痛みが軽い場合は自然治癒を目指すことができます
            • 家庭薬による対応:アニサキスによる下痢症状がある場合、正露丸などの市販の胃腸薬を使用することが一つの方法です
            • 痛みの一時的な緩和:強い痛みがある場合は、ロキソニンのような鎮痛剤を使用して、一時的に症状を軽減させることが考えられます

            総括

            • アニサキスに感染すると、腹痛や下痢、嘔吐などの消化不良や食中毒の兆候が生じることがあります
            • フィロメトラは主に魚の生殖器官に寄生し、摂取しても健康上の害はありませんが、視覚的に不快感を与えることがあります
            • 生食時に注意が必要なイサキの食べ方には、刺身、お寿司、たたき、なめろうが含まれます
            • イサキにはアニサキスとフィロメトラという二つの異なる寄生虫が存在することがあり、フィロメトラは通常魚の生殖器に、アニサキスは魚の内臓に潜んでいます

             

            これらの寄生虫を無力化するには冷凍処理が効果的です。したがって、イサキを生で楽しむ際は十分な前処理が安全確保のために不可欠です。

            よかったらシェアしてね!
            • URLをコピーしました!
            目次