「ハヤトウリ」はご存じですか?あまり全国的には知られていないかもしれませんが、栄養価が高く多様な料理に活用できる食材です。ハヤトウリを手に入れたら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。ハヤトウリのおいしい食べ方や栄養について詳しく解説します。
ハヤトウリについての基本
ハヤトウリの概要
ウリ科の野菜であるハヤトウリは熱帯アメリカが原産で、アメリカ南部やラテンアメリカ、カリブ海地域の食文化に欠かせない食材で、日本には大正時代に導入され鹿児島県が栽培の中心となっています。日本国内では沖縄や鹿児島で主に栽培され、限られた量しか生産されないため、珍重されています。秋の10月から11月が旬で、適切な保管方法を用いれば長期保存も可能です。
ハヤトウリの味わい
独特な苦みとえぐみを持つハヤトウリですが、適切な下処理をすることでこれらの味は軽減されます。処理後のハヤトウリは味が淡泊で、シャキシャキとした食感が特徴ですが、好みは分かれることもあります。
ハヤトウリの栄養と健康効果
ハヤトウリは、水分が豊富で低カロリーなのが特徴です。では、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。
100グラム当たりには
- エネルギー:20キロカロリー
- タンパク質:0.6グラム
- 炭水化物:3.8グラム
- 脂質:0.1グラム
- カリウム:170ミリグラム
- カルシウム:12ミリグラム
- マグネシウム:10ミリグラム
- リン:21ミリグラム
- 食物繊維:1.2グラム
- ビタミンC:11ミリグラム
- 葉酸:44マイクログラム
が含まれています(出典:「日本食品標準成分表2020年(第8版)」)
その他にも
- 鉄分や亜鉛
- マンガン
- パントテン酸
などが含まれています。
カリウム、食物繊維、ビタミンC、葉酸は重要な栄養素で、カリウムは体内のナトリウム量を調節し、水分バランスを保つのに役立ちます。食物繊維は便秘予防に、ビタミンCは抗酸化作用や免疫力の維持に、葉酸は妊娠中の女性にとって特に重要な栄養素です。
ハヤトウリの簡単な下処理法
初期処理のポイント
ハヤトウリには特有の苦味や渋みがありますが、適切な前処理でそれらを軽減できますし塩揉みや塩茹でが有効です。塩揉みをしてから水で洗い流すと、渋みがほぼなくなります。また数ピースに分けて塩茹ですると柔らかくなって食べやすくなりますが、生のハヤトウリは手荒れの原因になることがあるため、下処理の際はゴムやプラスチックの手袋を使用することをお勧めします。
ハヤトウリのおすすめ調理法
ハヤトウリはビタミンCが豊富ですが、加熱により失われやすいです。栄養を保持するためには、生で食べたり、スープにして汁ごと摂るのが良いでしょう。また歯応えがあるので、サラダやピクルス、炒め物などにも適しており、さまざまな料理で楽しむことができます。
皮の取り扱いについて
若いハヤトウリの皮は食べられます。栄養が豊富に含まれているため、皮も含めて食べることで栄養を無駄なく摂取できます。
ハヤトウリのお勧めレシピ
ハヤトウリの簡単ピクルス
ハヤトウリはピクルスにすると特に美味しいです。以下は手軽に作れるピクルスのレシピです。
【材料】
- ハヤトウリ:200g
- 水(洗い用):適量
- ☆酢:大さじ1
- ☆砂糖:大さじ1
- ☆塩:小さじ1/2
- 乾燥昆布:一片(5cm角)
- 輪切り唐辛子:小さじ1/2
【作り方】
- ハヤトウリを縦に四つ割りにし、皮を剥き、種を取り除いた後、スライスする
- ボウルに水をはり、ハヤトウリを5分ほどさらしてから、ざるで水を切る
- 再封可能な保存袋にスライスしたハヤトウリと☆マークの調味料を入れてよく揉み込む
- 昆布と輪切り唐辛子を加え、空気を抜きながら密封し、冷蔵庫で1時間置いて味をなじませる
- 器に盛り付ければピクルスの完成です
ハヤトウリの炒め物
ハヤトウリはサクサクとした食感が魅力です。炒め物にする際は火の通り過ぎに注意し、この食感を活かすことがポイントです。最後にごま油を少し加えると風味が増し、より一層おいしくなります。
【肉味噌炒めの材料】(2人前)
- ハヤトウリ:1個(約200g)
- 合びき肉:70g
- 水:80ml
- 砂糖:大さじ1
- みりん:大さじ1
- 醤油:大さじ1
- 調理油:大さじ1
- 片栗粉(水溶き):大さじ1
- 薬味ねぎ(あれば):適量
【作り方】
- ハヤトウリを剥き、縦半分に切り、種を取り除いて一口大に切り、水に10分間さらす
- フライパンを熱し、調理油を引いて合びき肉とハヤトウリを炒める
- 水、砂糖、みりんを加え、蓋をして中火で5分煮込む
- 醤油と水溶き片栗粉を加え、さらに約1分煮込む
- 盛り付けて、薬味ねぎをトッピングする
ハヤトウリのスープ
ハヤトウリはスープにも適しており、ビタミンをそのまま摂取できます。チキンブイヨン、エッグドロップ、アジアンスタイル、ハーブ風味など様々なバリエーションで楽しめます。
【材料】(2人前)
- ハヤトウリ:200g
- スモークベーコン:60g
- 清水:500ml
- チキンブイヨン粉末:小さじ2
- 塩、フレッシュクラックドペッパー:適量
- 生ニンニク(おろし):小さじ1/2
- 無塩バター:10g
- ドライパセリ:適宜
【作り方】
- ハヤトウリを剥き、種を取り除いて食べやすい大きさに切る
- ベーコンを1cm幅に切る
- 鍋にバターとニンニクを加え、香りが出るまで弱火で炒める
- ハヤトウリとベーコンを加えて炒め、水とチキンブイヨンを加えて中火で沸騰させる
- 蓋をして弱火で10分煮込む
- ハヤトウリが柔らかくなったら、塩とペッパーで味を整える
- 器に盛り、ドライパセリを散らして完成
総括
今回はハヤトウリの様々な食べ方をご紹介しました。
1917年に日本に導入されたハヤトウリは、沖縄や鹿児島で栽培され、10月から11月に旬を迎えます。
カリウム、食物繊維、ビタミンC、葉酸など栄養価が高く、苦味を和らげるための下処理が大切です。
スープ、炒め物、ピクルス、きんぴらなど、多彩なレシピに活用できます。
市場で見かけた際は、これらの情報を参考にして季節の味を楽しんでいただければ幸いです。