秋の味覚の代表、サンマには様々な寄生生物が潜んでいることをご存知ですか?
生食時に食中毒を引き起こすアニサキスの他にも、ラジノリンクスという寄生虫が存在することが知られています。
この記事では、サンマに見られる寄生虫の種類、それらのリスクや対策、ラジノリンクス寄生虫の特徴、そしてアニサキスによる食中毒について詳しく解説します。
ラジノリンクスってどんな寄生虫?
ラジノリンクスの特徴
ラジノリンクスは一部の地域でよく知られている寄生虫で、生でも調理しても変化しない赤い色が特徴です。
この寄生虫はサバやカツオなど様々な魚の腸内に寄生しています。
大抵の場合、これらの寄生虫は魚の後部に見られ長さは約2~3センチメートルと容易に識別できます。
そのため、調理時や食品の準備段階で目立ちやすいです。
ラジノリンクスの食中毒リスクは?
ラジノリンクスは摂取しても基本的に安全で、食中毒のリスクは非常に低いとされています。
そのため、魚に遭遇する際の比較的安全な寄生虫と考えられています。
人間の体内で内部寄生する能力はないため、人への直接的な害はありません。
ラジノリンクスを食べたらどうなる?
海に生息するサンマには様々な寄生虫が寄生していることがあります。
これらの寄生虫は魚が死んだ後も生き続けることができ、食中毒の原因になることがあります。
サンマには「アニサキス」や「ラフィダスカリ科」の寄生虫が存在し、アニサキスは特に危険で、激しい腹痛や嘔吐、下痢を引き起こす可能性があります。
一方、ラジノリンクス(赤虫)は、加熱すれば人体に影響はないと言われており、食べてしまっても問題ありません。
ラジノリンクスではなくアニサキスを食べてしまったら?
まずは医療機関へ
アニサキスによる食中毒が疑われる場合は、まず医療機関を受診することが推奨されます。
医療機関で原因となる寄生虫の除去治療が行われることが一般的です。
自宅での対処法
アニサキス感染が軽度の場合、自宅での対処が可能です。アニサキスは人体内での寿命が短く、長くても一週間で死ぬため、症状が軽い場合は自己回復が見込めます。
軽い下痢の場合は家庭用の痛み止め薬で対応可能です。また、ロキソニンなどの市販の痛み止めで一時的な痛みを緩和することもできます。
アニサキスによる食中毒の症状
なぜ食中毒を引き起こすのか?
アニサキスによる食中毒は、アニサキスの幼虫が胃や腸の壁に侵入することで発生します。
これにより、みぞおちや腸に激しい痛みや嘔吐を引き起こすアニサキス症が発生します。
アニサキス症の症状と発症タイミング
アニサキスが胃壁に侵入すると、上腹部に激しい痛みが生じます。腸内膜に侵入すると下腹部に激しい不快感が発生します。
急性胃アニサキス症は摂取後数時間で発症し、上腹部の痛み、吐き気、嘔吐が起こります。
急性腸アニサキス症は食後数時間から数日後に発症し、下腹部痛や腹膜炎の症状を引き起こすことがあります。
異所性アニサキス症は非常にまれで、寄生虫が消化管を突破して他の領域に移動するときに発生します。
また、アニサキスアレルギーは、アニサキスのタンパク質成分に対する反応によって起こり、腹痛や蕁麻疹を引き起こすことがあります。これはアニサキス症とは異なり、線虫の存在や排除に依存しません。
アニサキスの症状発生確率
ある研究によれば、アニサキスによる症状が発生する確率は、宝くじの一等に当たる確率とよく比較されます。この比較は、アニサキス食中毒の年間報告件数と、全国民が週に一度生魚を摂取するというシナリオを基にしています。
年間約7,000人のアニサキス中毒症例が医療費請求データから推定されています。
日本全国民(約1億2,500万人)が年間約50回生魚を食べると仮定した場合、年間7,000件の発生は約90万分の1の確率でアニサキスによる食中毒が発生することを意味します。
アニサキスによる食中毒を予防するための方法
アニサキス感染を防ぐためには、以下の6つの戦略が重要です。
- 常に新鮮な魚を選び内臓を速やかに取り除く
- 幼虫の目視検査を行う
- 食べ物をしっかり噛む
- 生魚料理の摂取を控える
- 魚を-20℃以下で少なくとも24時間冷凍する
- 魚を70℃以上でしっかり調理する
アニサキス寄生虫は調理または冷凍によって死滅し、これらの処理後の魚は安全です。
寿司や刺身などの生魚料理は新鮮な状態で食べることが理想的ですが、事前に冷凍することでアニサキスを死滅させることが可能です。また、適切な温度で調理することで寄生虫の生存を防ぐことができます。
アニサキス除去の効果的な方法
アニサキス寄生虫を効果的に除去する方法として、凍結と加熱処理が推奨されています。
冷凍方法では、魚を-20℃以下で24時間以上保存することで、寄生しているアニサキスを完全に死滅させることができます。
加熱方法では、アニサキスは70℃以上の温度にさらされると死滅します。60℃で1分間加熱することでも十分に死滅させることが可能です。
冷蔵庫の温度設定と真空調理法に注意
アニサキスを効果的に除去するためには、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫の温度が十分でないことに注意が必要です。
また、最近の真空調理法ではアニサキスを死滅させるのに十分な温度に達しない場合があるため、食中毒を防ぐために確実な予防策を講じることが重要です。
寄生虫がいるかもしれない魚の楽しみ方と調理方法
サバなどの魚を食べる際、アニサキスなどの寄生虫が存在することがあります。
特に生食する場合、アニサキスが生きていると食中毒の症状を引き起こす可能性があります。
サンマを生で楽しむ場合、刺身や寿司、たたき、なめろう、カルパッチョなどがリスクがある調理法です。
これらの生食品は、寄生虫を殺すために事前に冷凍されている場合には安全ですが、そうでない場合は生きたアニサキスを摂取するリスクが高まります。
たたきやなめろうでは、潜在的なアニサキスが細かく切り刻まれるため、リスクが軽減される傾向にあります。
リスクの観点から見ると、刺身、寿司、カルパッチョはたたきやなめろうに比べてリスクが高くなります。
サンマが劣化するとどうなる?
サンマが腐ると食べられなくなり、食中毒のリスクが高まります。
鮮度の低いサンマを見分けるためには、表面のぬめりやベタつき、魚の腹部の異常な柔らかさ、強い生臭さなどの兆候に注意が必要です。
スーパーで魚を選ぶ際は、腹部の柔らかさが鮮度の重要な指標となります。
購入後は、表面のぬめりやベタつきがないかよく確認し、内部が溶けてどろどろになっている場合は腐敗の兆候として避けるべきです。
総括
サンマに見られる主な寄生虫はアニサキスとラフィダスカリス(ヒステロチラシウム)です。
アニサキスを生で摂取すると、腹痛、下痢、嘔吐などの食中毒症状を引き起こす可能性がありますが、ラフィダスカリスは通常無害です。
サンマを生で食べる場合(特に刺身、寿司、タルタルなど)事前に冷凍しないで摂取する方法は危険です。
アニサキスは魚が死ぬまで内臓に寄生する可能性がありますが、冷凍すれば寄生虫は無害になります。
生で食べる場合は適切な下処理が重要であり、ラフィダスカリスに遭遇した場合は単に駆除するだけで十分です。